2/11講演のおしらせ : 世界初のコンテンポラリー・ジャズ・ギタリスト
●2011年 2/11(金) 国立ノートランクス
平井庸一のジャズ・ギター列伝 Vol.4 初期のジョン・マクラフリン
国立ノートランクスでのジャズ・ギター講演、第4回目は、ジョン・マクラフリンを取り上げます。
現在でこそパット・メセニーをはじめとして、カート・ローゼンウィンケル等、ジャズ・シーンを先導するようなギタリストも多数存在しますが、1960年代後半ごろまでは、ジャズにおいてのギターは、サックスやピアノと比べあきらかに“遅れた楽器”だったと思います。
楽器の機能的にも、奏法、テクニック的にもハードバップ〜モード、フリーというジャズの変革にはなかなか対応できませんでした(ハードバップ期のケニー・バレルは唯一孤軍奮闘しましたが)。
たとえば、マイルス・デイヴィスの「E.S.P」とウェス・モンゴメリーの「ハーフ・ノート」が同じ1965年録音だというのがそのことを象徴しているように感じます(ウェスは間違いなくジャズ・ギター史上最高のギタリストでありインプロヴァイザーですが、サウンドのコンセプトは50年代のハードバップに基づくものでした)。
ジョン・マクラフリンが革新的だったのは、マイルス・デイヴィス、トニー・ウイリアムス、ウェイン・ショーター、ジョー・ヘンダーソン、ハービー・ハンコック、ミロスラフ・ヴィトウス、ジャック・ディジョネット等と次々と共演し、ギタリストとして初めて、最先端のジャズ・シーンに加わったということだと思います。
これは、ウェス・モンゴメリー、ケニー・バレル、ジム・ホール、バーニー・ケッセルといった前の世代の巨匠たちだけでなく、ラリー・コリエル、ジョージ・ベンソン、パット・マルティーノ等の、マクラフリンと近い世代のギタリストにも成し得なかったことでした。
60年代以降のジャズの進化したハーモニーやリズムにどうやってギターで対応するのかをマクラフリンが提示したことが、その後のジョン・アバークロンビー〜パット・メセニー、ジョン・スコフィールド、ビル・フリゼール〜カート・ローゼンウィンケル、ベン・モンダー、ジョナサン・クライスバーグといったコンテンポラリーなジャズ・ギターの流れに影響を与えているとも言えるのではないでしょうか。
そういう訳で、今回の講演では、マハヴィシュヌ・オーケストラで大成功して以降のよく知られているマクラフリンではなく、イギリス時代、アメリカでのサイドマン時代の音源を中心に紹介します。
まだオーソドックスなジャズ・ギター・スタイルで弾いていたデビュー当時から、ゴードン・ベック、ケニー・ホイーラー、ジョン・サーマン等との共演を通じて、だんだんとテクニック、センスを開花させていく過程を聴いていただければと思います。
若き日のマクラフリンがプレイする、パーカーやコルトレーンのナンバー、スタンダード、さらにはディキシー(!)風ジャズなどの音源もかける予定です。
国立ノートランクスのホームページはhttp://notrunks.jp/です。 平井庸一
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